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ジェイソンが俺とヒースを交互に見比べて口をぱくぱくさせている。
「ヒ、ヒース様」
「ジェイソン、俺とカルはお前が考えているような関係じゃない」
「そ、それを聞いて安心しました。私は母君にヒース様のことを頼まれていますので」
「でもカルのことは大切に思ってる。きっと、将来の伴侶よりも」
「ヒース様……」
「だから見逃してくれないか? ジェイソン」
ヒースが俺のこと大切に思ってるって言った。間違いない、たしかに聞いたぞ。うれしくて心がぽわぽわする。だからそのあとの将来の伴侶がどうのっていうところは完全に聞き流していた。
「分かりました」
ジェイソンは頷くと、俺の頭をポンと撫でた。
「カル、ヒース様がお許しになったからといって、あまり馴れ馴れしい態度をとるんじゃないぞ。分かったな。それから万が一危険なことが起きたら身代わりになる覚悟で守れ。いいな」
「ジェイソンは相変わらず小言が多いね。分かってるよ」
俺が言うとジェイソンはムッとしてヒースは笑い出した。
「たしかに、ジェイソンは昔から小言ばかりだ」
「ヒース様まで……」
「悪い。ジェイソンにはいつも感謝してるよ。夕食は部屋でとるから二人分持ってきてくれないか?」
「分かりました」
ジェイソンは気を取り直して部屋を出て行った。
「ヒース、知ってる? ジェイソンは誰もいない時、竜の俺にも小言を言ってたんだよ」
「そうなのか? 知らなかった」
笑いながら二人でベッドに寝転がる。
「城から出られなくなってしまったな」
「ヒースと一緒にいたいから別にいいよ。どうしてもヒースが出たいなら、突破できると思うけど」
「突破すれば古城や村の人々が危ない。だから大人しく従う」
「ヒースは優しいね」
寝転がるヒースの顔を覗き込むと、頬をぺろっと舐めた。
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