エピローグ

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 ヒースとはずっと仲良しで、王族と付き人の関係のはずなのにヒースの方が俺の面倒を見てくれてる。どこに行くのも一緒だし、夜はいつも同じベッドで寝てる。だから毎日幸せだった。  国力強化のために辺境に住む少数部族の姫君とヒースとの政略結婚という話が出たのはそんな時期のことだった。  ヒースが結婚すると知って落ち込んだ俺は、その相手が俺だと聞いて生まれて一番の衝撃を受けた。 「攻撃的でややこしい性格だが、ほんの少しは弟思いのところもあるらしいな、あのエリオットという奴は」  クラウスがそう言った通り、エリオットは俺とヒースの結婚を認めてくれたらしい。半分はヒースに恩を売り、半分は竜を味方につけることで国力を強化する狙いもあるみたいだけど。  つまり少数部族というのは捏造で、部族に変身するのはクラウスの商売仲間。俺は結婚式の間だけ姫君に変装して参列者たちをごまかさなきゃいけない。  それからクラウスが城にやって来て、数ヶ月間、女性に変身する特訓をやらされた。女の人に変身するのは人間に変身する時の魔法の応用らしいけど、俺にはとても難しかった。失敗続きで、結局見た目さえある程度なんとかすればいいというところに落ち着いた。  クラウスは今でもクラウディアさんの姿で王城に出入りし、エリオットといろいろ取引をしているという話だ。クラウディアさんの正体には気づいてなくて、竜を呼び寄せられるすご腕の魔法道具屋としか思われてないらしいけど。五百年も生きていると商売上手になるんだな。
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