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「似合ってる?」
「カルはどんな姿でも可愛い」
そう言われて嬉しくて思わず空を飛びそうになった。
夜になり、式が終わってもお祭りは終わらなかった。クラウスやジークさん、ジェイソンやほかのみんなも大好きなお酒を飲んで上機嫌だったり酔い潰れてる。
結婚式の間、ベールをかぶって黙ってじっとしていた俺も、我慢できなくなって誓いのお酒をペロペロ舐めていたら、すごく気分が良くなって、じっと座っていられなくなった。それで見かねたヒースが式場から連れ出してくれた。
「カル、変身が解けてる」
「えっ? 竜にもどった?」
「竜には戻ってないけど、女の人には見えなくなった」
「ツノは?」
「生えてないから安心しろ。それに多分誰も気づいてない」
「良かった~」
ヒースが笑ってる。
「後のことはジェイソンやクラウスに任せて、部屋に戻ろうか」
「うん」
酔っ払ってまっすぐ歩けないのでヒースが支えてくれる。腰に手を回されて、頬にキスされた。
「ヒース、あのね、クラウスが言ってたけど竜の息は魔力が宿ってるんだって」
「へえ、それで無詠唱で魔法が使えるのか」
「うん。あと俺、生まれる前の記憶があって」
「そうなのか?」
「生まれる前は雲の上にいるんだ。それで生まれる時に希望を叶えてくれるっていうから、チート能力と、あと恋人がほしいって……」
「カル、かなり酔ってるな」
ヒースに支えてもらいながら部屋に着くと、ドアをあけて寝室に滑り込んだ。ベッドに寝転がり、部屋の窓を開けるとお祭りの賑やかな声が聞こえて来る。
「今日は結婚してはじめての夜なのに、そんなに酔ってたら眠ってしまいそうだな」
「いつも一緒に寝てるけど」
「記念日だろ」
「……そうだね。ヒースが俺のものになった記念日だ」
「いつの間に主従が逆転したんだろうな」
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