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ヒースが靴を脱ぎながら、寝転がった俺のベールを外し、アクセサリーや手袋も外してくれる。
「きっとカルが卵から孵った時からだな。こんなに可愛い生き物がいるなんて知らなくて、衝撃を受けたんだ」
「俺もびっくりしたよ。ヒースがかっこよすぎて」
「世界一かっこいい生き物に言われると照れるな」
ヒースが俺の頬を両手ではさみ、夜明け前のような紺色の瞳で顔を覗きこむ。その瞳の中には、赤茶色の髪の青年が映ってる。
「ヒース、何があっても俺が一生守るから」
「そのセリフは俺に言わせてくれ」
「大好きだよ、ヒース」
「俺もだよ、カル」
魔法の息を吐いてヒースを抱きしめ、唇を重ねる。クラウスが以前教えてくれた白竜と姫君の恋の話を思い出す。寿命の長い白竜は、お姫様を守るために魔力を使い続け、姫君と同じ寿命で亡くなったというお話だった。だから俺は魔法の息を吐く。息は竜の魔力の源で、尽きれば寿命を迎えるから。
ヒースと一緒に生きて、それから一緒に雲の上に行くんだ。それが俺の今の願い。
ずっと大好きだよ、ヒース。
おわり
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