人間じゃなかった

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 もう一つ見たいのは、俺を暖めている子供の顔。きっと可愛い子だと思うな。でも異世界だから目が一つとか、動物みたいな顔とか、想像とはかけ離れた容姿かも。それでも全然問題ない。この子はすごく優しいからどんな顔でも可愛く見えると思う。そもそも俺だってトカゲか鳥なんだし。  たまに振り回されて気持ち悪くなるけど、そこは子供だから仕方ない。俺も前世では子供の頃、虫とか魚とか捕まえて遊んでたからな。それにこの感じだと、卵から孵っても食べられたりすることもなさそうだ。    それからまた日にちが過ぎて、卵の中がだんだんきつくなって来た。あったかぬるま湯も残り少ない。ますます身体を動かすのがキツくなって、そろそろ卵の中の世界ともお別れだと感じる。どこかに出口がないかと、ツンツン突いていたら、外の世界から反応があった。 (ジェイソン、卵から音がする) (ヒース様、そろそろ生まれるのでは?)  子供の名前はヒースっていうのか。返事をしながら中からつついてみた。 「おーい、ヒース!」 (返事したぞ。生まれるって)  おお、初めて意思疎通できたぞ。ちょっと楽しいな。  だけど俺がいくらつついても卵の殻はヒビ一つ入らなかった。これはけっこう外に出るのは大変だな。フルパワーで立ち向かっても殻はびくともしない。疲れたのでもう少し卵の中で力を蓄える事にした。  
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