再会の時間

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再会の時間

トントン トントン 「はい、どうぞ」 まあ!きれいなお花! 「今日は来ないって言ってなかった?みーちゃんと出かけるんでしょ?」 「こんにちは」 「こんにちは…… その声……」 「沙菜!会いに来たよ!お花をどうぞ」 「義也!ありがとう、あの、え?あ、えっと」 「久しぶりだね、沙菜。顔色は良いようだ。沙菜は赤やピンクが好きだから。綺麗だろ?沙菜の好みにピッタリのはずだ」 「ほんと。とっても綺麗……」 「どうした?沙菜?」 「うん…… やだ、涙でちゃう…… ごめん。顔ぐちゃぐちゃ」 「いいよ。気にしなくていい。僕の前では何も気にすることはないんだ。そのままの沙菜でいいんだ。泣いていいんだ。もっと早く来られなくてごめんね」 「娘に話したの、昨日だよ。凄く早いよ!びっくりした!嬉しい!」 「ほら、もう笑顔だ。それでいい」 「うん」 「昨日、最初に娘さんから電話をもらった時に出られてれば、もっと早くこれたから。それにお花を持ってきたくてね。花束をもって現れる良い男ってことね!」 「はっはっ!可笑しい!そんなこと思ってたの?」 「そうさ。大切な人の前じゃ、格好つけたいんだよ、男ってもんはね」 「ふーん。なるほど。で、私を驚かそうと思って、娘に口止めした?」 「まあね」 「いじわるね、一晩中気が気じゃなかったんだから!」 「それはごめん!これからたくさん一緒にいようよ」 「たくさんって……」 「大丈夫。心配しなくていいんだ。一緒にいよう。うんって言って」 「え?う、うん」 「さあ、何から話そうか。たくさんありすぎるなぁ。そうだなぁ、年賀状の告白から話そうか?」 「そっから?長くなりそうだね!」 「そうさ。長くいるんだ、僕はここに」 「ありがとう、義也。あのね……」 「ん?」 「やっと会えた。私の一番大切な貴方」 「うん。やっと会えたね、僕の一番大切な人、沙菜」 私たちは話し出した。13年間のこと、その前のこと、その前のこと。 子供のようにはしゃぎながら、年を重ねたお互いを見つめ合いながら、そして瞳の奥に、これからを見ながら……
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