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出会い
「望くん、おはよう!やっと暖かくなって、すっかり春ね」
「田中さん、おはようございます。やっと春かと思えば、今日は急に日差しが強いですね」
「日焼け止め塗らなきゃねぇ」と呟く、春の軽やかな日差しが似合う田中と今日も親しげに挨拶を交わす。
今朝は一番に花壇の手入れが予定されている。田中の言葉に倣い日焼け止めを少し塗ると帽子を目深に被った。
この郊外の大学で清掃員として働く坂下望(サカシタノゾム)は、約1年間過ごしたオメガ保護施設を18歳で出ると、心機一転東京に移り住んだ。
いくつかの職を経て22歳の現在、この清掃の仕事にたどり着き平穏な日々を謳歌している。
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