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絶対に何かおかしい。私はそう確信していた。
咲良が昨晩行った行動には、人生で一番驚かされたかもしれない。いまだに自分の胸は落ち着かずソワソワしている。
夜、話したいことがあると私の部屋を訪れた咲良は、わかりやすいほど表情を強張らせていた。ああ、ついに終わりの相談か。私はそう思っていた。
本当は私から切り出そうと思っていたのだ。あのケーキの一件で、やはり咲良は今も想いを寄せる人が他にいるのだと再確認させられた。いい加減この夫婦ごっこの終焉を相談されるのかと思った。
元はと言えば私が綾乃と共謀して無理矢理結婚させたようなもの。このわがままに付き合わせて本当に申し訳なかった。もう彼女のことは諦めて解放と考えていた。
ところが、だ。
咲良が提案したのはまさかの「ステップアップ」。未だ他人でキスすらしていないのにまさかの提案だった。無理矢理引き攣らせた笑顔で彼女は言った。「気持ちなんてなくていい」「他の誰かと見立ててもらってもいい」そう震える声で述べたのだ。
そんな彼女に手を出すなんてこと、できるわけがなかった。
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