8.蒼一の決意

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 気持ちがない? 他人に見立てる? 咲良も私を他の誰かと思い込んで無理矢理事を済ますつもりだったんだろうか。一体なぜ彼女をそこまで追い込んだのか、私は理由が知りたかった。  きっと何かあったんだ。間違いない。  思い当たる節があるのがこれまた辛い。咲良との結婚をよく思っていない人間が少なからずいるのを知っている。誰かが何かを吹き込んで咲良を追い詰めたに違いなかった。  泣いてしまった彼女は部屋から出てこず一人にしてほしいと言った。女性としてあんな発言をするのはとても勇気がいることだったと思うし、きっと羞恥を感じたに違いない。私は無理に追求せずとりあえず咲良の言葉に従った。  今日の朝でさえ、咲良は部屋から出てこなかった。  仕事は休んでしまおうか、と悩んだが私は出社することにした。咲良は一人で考える時間が必要かもしれないし、何より確認したいことがあったのだ。 「天海さん」  昼になり、私は今現在無人の会議室に新田茉莉子を呼び出した。彼女は普段と何ら変わりない様子で部屋にやってきた。
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