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私の誕生日の日、告白をしてきてくれたわけだが、あれ以降も彼女は普段と変わりない様子でしっかり仕事をこなしていた。そこは素直に感心している。
私は立ったままデスクにもたれかかって彼女を待っていた。今日どうしても確認したいことがあったのだ。世間話も何もなく、私はすぐに本題を切り出した。
「呼び出してごめん、聞きたいことがあって」
「天海さんの呼び出しならいつでも答えますよ」
「単刀直入に聞くけど、咲良に何かした?」
私の質問に、新田さんは強い眼差しでこちらを見上げた。
あまり人を疑いたいとは思わない。だが、昨晩の咲良の原因を突き止めるためには仕方のないことだった。以前咲良の周辺を嗅ぎ回っていた彼女の顔が浮かんでしまうのは仕方ないこと。
新田さんはふっと視線を逸らす。私は続けて尋ねた。
「昨日咲良の様子がおかしかった。あまり疑いたくはないけど、以前撮った写真のこととかあるから……何かした?」
「様子がおかしかったって?」
「それは言えない。でも、きっとひどく自分を追い込んでいる」
「それで、私が何かしたと?」
「気を悪くしたらごめん」
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