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彼女は少しだけ笑った。手入れの行き届いた髪の毛が揺れる。そして堂々とした顔で私の方を見る。
「いいえ、疑われてもしょうがないと思っていますよ。実際咲良さんのことを調べてた時期もありますし。でももうそれはやめました」
「やめた?」
「ええ、無意味だと思ったので」
それは一体どういう意味なのだろうか。少し首を傾げる。私の気持ちを知りもう諦めたという言葉? だがあの誕生日の日、最後にうまく行きっこない、と言い放った彼女からは素直に諦めたという感じは見当たらなかった。
新田さんからはどこか余裕すら感じられるほどだった。私に怯むこともなく、むしろ勝ち誇ったような顔で言う。
「咲良さんには何も接触してませんよ……私は」
じっと彼女を見つめる。
「本当に?」
「ええ、本当に」
「…………」
「信じてない顔ですね。ふふ」
彼女からは余裕すら感じられた。何もしてない、か。そうなれば私の中でもう一人浮かんでくる人がいる。あまり考えたくなかったが、実母だった。
ずっと綾乃を可愛がり咲良には冷たくあたってきた人だ。あのパーティー以来まるで接触していない。やはり母が咲良に何か言ったのだろうか? しかし何て?
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