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「そうです。きっと今もまだ家で引きこもって落ち込んでるでしょう。母さん、僕たちの問題だから首を突っ込まないでください。僕たちには僕たちのペースがあります、今後どんな形になろうと、母さんには関係ないこと。もうこれ以上咲良を傷つけないでください」
必死にそう言う私に対し、母はまるで表情を変えなかった。その様子がまたこちらを苛立たせる。
すると母は立ち上がり、近くにある小さな引き出しから何か紙を持ち出した。怪訝に思いながら待っていると、私にそれを差し出す。覗き込んだ瞬間、自分の心臓が止まったのかと錯覚した。
離婚届。そこにはそう書かれていた。
さらには咲良のサインがしてあることに気づく。震える手で紙を持つと、無意識に力が入って離婚届に皺が入った。
「は……な、これ……」
「咲良さんが朝持ってきてくれました。彼女の意志で持ってきてくれたんですよ。あの子もこうなることを待っていたようです」
「ま……ってください、そんな馬鹿な!」
つい声を荒げる。想定外のことすぎて全く頭がついていかなかった。
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