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「お邪魔します」
「え? いや、どうして新田さん」
訳がわからずそう呟いた私の背後で母が笑った。
「あら、早かったわね」
「ふふ、実は近くまで来てたんです。天海さんが午後のお仕事をお休みしているのを見て、こちらに来るんじゃないかと」
「さすがね。上がって」
私を差し置いて二人盛り上がりながらリビングへ入っていく。このまま咲良の元へ帰ろうかと思ったが、あの二人が繋がっていることはどうも胸をさわがせた。どうやら新田茉莉子のことは母が呼び出したらしい。そういえば、私が来た直後どこかに連絡していた。しかし一体なぜ新田さん?
私は再びリビングへ戻る。
和気藹々とソファに腰掛け話している女二人を少し離れたところから呆然として見ていると、母が言った。
「蒼一。
次の結婚相手にはこの人がいいと思っているの」
「はあ?」
自分の口からそんな声が漏れる。一体何を言っているんだと思った。母は続ける。
「頭がよくて気がきく。美人ですし、仕事もできるというじゃないですか。ピッタリですよ。新田さんは別にいいとおっしゃってるの」
「…………」
「だから今日呼んだんですよ。今すぐじゃないですが、これから次の結婚相手として関わっていけたらと」
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