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初めて咲良と一緒に寝る時、ガチガチに表情を固まらせていたあの子を見て、嫌なんだなと思っていた。好きな人がいると断言した言葉を聞いて、他に想いを寄せる男性がいるのだなと思っていたのだ。
しかし耳に飛び込んできたのは、綾乃の罵声だった。
『はあ!? あんたたちもう三ヶ月も一緒に暮らしてるんじゃないの? 何を今更なことを言ってんのよ!』
その確かな答えを聞いて、私はその場に座り込んだ。全身の力が抜け、もはや立っている余力などなかった。
綾乃は続ける。
『まさか今気づいたっていうの? 馬鹿じゃないの!』
「……無理矢理嫁いだのかと思ってた」
『あのね! そもそも、あの子は私の大事な妹なの。いくら自分が結婚するのが嫌だからって、その皺寄せが妹にいくのをわかってながらあんなことするはずないでしょ?
私は知ってたからよ。蒼一の気持ちも、咲良の気持ちも。だからあの計画を持ちかけたのよ!』
息荒くそう怒鳴る綾乃の声を聞きながら、ただ自分の愚かさに目眩を覚えた。
今まで自分がやってきた行動が全て蘇ってくる。
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