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道端で泣きじゃくる私を、蓮也は家に誘ってくれた。迷っている私に、今はお姉さんと二人でアパート暮らしをしていることを教えてくれた。蓮也のお姉さんは会ったことがあったし面白い人だったから、私はお言葉に甘えてお邪魔することに決めたのだ。どうせ行くあてもなかった。
お姉さんは蓮也に不思議そうに尋ねた。
「あんた仕事は?」
「今日は休んだ」
「え!?」
声を上げたのは私だ。仕事を休んだ? が、よく考えてみれば蓮也だって社会人なのだ、仕事があるのが当然。私は彼の服の裾を掴んで言う。
「ご、ごめん。そうだよね、仕事だったよね」
「あー全然いいから。今そんな忙しい時期じゃないし有給余ってるから使いたかったし」
蓮也はそうそっけなく言うと、話題を逸らすように今度はお姉さんに言う。
「つーか姉ちゃんは今日バイト休みっつってなかった? なんで化粧してんの」
「ああ、風邪で休む子がいるから来れないかって店長に頼まれたから急遽働くことに」
「まじか」
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