9.咲良の答え

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「ったく口が悪い弟だなほんと。可愛い妹とかならよかったのに」  ブツブツいいながらお姉さんは鞄を手にする。そして私にだけ爽やかな顔で手を振ると、そのまま家を出て行ってしまったのだ。  私はといえば、二人の仲のよさにまだ笑っていた。私とお姉ちゃんとはまた違ったタイプの姉弟。でも、姉には敵わないという立場はすごく理解できる。  蓮也は気まずそうに言った。 「ごめんうるさくて」 「全然。相変わらず面白いお姉さんだよね。私好きだな、もっと話したかった」 「姉ちゃんも言ってたけど泊まってけよ。夜ゆっくり飯でも食って話せばいいじゃん」  サラリと誘ってくれたことに感謝し小さく頷いた。目の前に出されたお茶をそっと一口啜る。少し苦い緑茶が私の心を少しだけ落ち着けてくれた。  隣に座った蓮也も、自分でいれたと見られるグラスのお茶を飲んでいた。私の前に置かれた焼き菓子を手に取り、無言でもぐもぐと食べ始める。彼のいつもと変わらない態度に、私はなんだ嬉しく感じて微笑んだ。  そんなこちらの様子に気づき、蓮也が言う。 「なに?」 「ううん。普通に接してくれて蓮也は優しいなあって」
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