6896人が本棚に入れています
本棚に追加
「無理しなくていいから。うんほんと」
蓮也はそういうとお茶を飲み干し、おかわりを取りに立つ。背の高いその後ろ姿をぼんやり見つめる。
冷蔵庫を開けながら蓮也は続けた。
「その、俺みたいな一般人は政略結婚とか無縁の話だからよくわかんないし。結婚は好きな人とするもんだって感覚だから」
「好きな人……」
「もちろん政略結婚が悪いなんて言わないけどさ。それでうまくいってる人も沢山いるんだし。ただ別世界って思ってただけ。咲良の家は金持ちだって噂では知ってたけど、咲良からは全然そんな感じしなかったから」
「それどういう意味?」
「あー! 悪い意味じゃない! 咲良はこう、いい意味で普通だったから! ほら、どっちかっていうと咲良の姉ちゃんは金持ち臭バリバリだったし」
「あは、金持ち臭?」
その言い方につい笑ってしまう。うちはそんな金持ちってわけじゃないと思うんだけどな。でも確かにお姉ちゃんはエステとかブランドとか好きだったかも。
蓮也はさらに慌てて言う。
「ごめん、変な意味じゃない! こう、ビシッとして持ってる物とかも良いものが多かったから」
最初のコメントを投稿しよう!