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「もう少し上手くやりたかったな。頑張ったつもりだったけど。もうちょっとお姉ちゃんみたいに」
「咲良」
低い声がして隣を見る。その動きで、目から涙が落ちてしまった。蓮也は真面目な表情でじっと私を見ていた。
「咲良は咲良じゃん。俺はそんな咲良がよくて好きだって言ったんだけど」
「……あ」
「だからそんなに自分を責めなくていいじゃん」
恥ずかしさと、どこか嬉しさもあって俯いた。顔が熱くなるのを自覚する。
結局蒼一さんには受け入れてもらえなかった自分が、誰かに好きだと言ってもらえるのは嬉しいことだった。自分はこのままでも価値があるんだ、って。そう思えるだけで少しだけ心が救われた。
蓮也も言って恥ずかしくなったのか顔を背ける。
「いや、ごめん。別にあの告白についてなんか言ってほしいわけじゃないから」
「うん……」
「でも覚えててほしい。俺は正直咲良が離婚できたって聞いて喜んでるよ」
しっかりした口調でそう断言され、びくっと自分の体が反応した。忘れていたわけじゃないけど、蓮也が私を好きと言ってくれているのはなんだか信じられないと思う。
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