9.咲良の答え

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 ぼんやりとそう考える。そういえば、実家に連絡したままスマホも見てないや。置きっぱなしだった鞄からそれを取り出してみると、いくつか着信やメッセージがあって狼狽えた。お母さんと、それから蒼一さんからも来ていたからだ。  聞いたんだな、離婚のこと。  多分何も相談なしでこうなったことに戸惑ってるだろう。彼は優しいから、ちゃんと私から話を聞こうと思ってくれたんだ。  じっとスマホの画面を見つめていると、横にいた蓮也がちらりとこちらをみた。 「電話鳴ってた。起こすのもと思って何もしなかったけど」 「うん……」 「蒼一って人?」 「うん、離婚のこと聞いて話そうとしてくれたのかも」  私はそのままスマホをしまった。すると蓮也が言った。 「話さなくていいの。好きだったこと」  驚きで隣をみた。彼はテレビの方を向いていたが、その目がお笑い番組なんて見ていないことは分かっていた。私は小さく首を振って言う。 「言えるわけないよ。困らせちゃうだけだよ。蒼一さんは優しいから、きっと」 「困らせて何が悪いの?」
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