9.咲良の答え

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   結婚式の日のことが蘇る。お姉ちゃんがいないと騒ぎになり、蒼一さんは困ったように俯いていた。彼と結婚できるチャンスを活かしたくて、私は立候補した。  お姉ちゃんの身代わりに、立候補したんだ。  やや似合わないドレスを着て知らない人たちの前で式を行った。それでも、隣に蒼一さんがいてくれたから乗り越えられた。  彼は私に数歩近づく。そして叱られた子供のような顔で言った。 「ごめん。僕はね、とっても狡くて酷い人間なんだ。  幻滅されるかもしれないと思って言えなかった。どうしても君のそばにいたかったから」  信じられない真実に、私はようやく彼の言葉を理解し始めた。  じゃあ、あの日お姉ちゃんが逃げることを知っていた。私がその代わりになることも想定されていた。  私が蒼一さんと結婚したのは、なるべくしてなったっていうこと?  私の顔を見て、蒼一さんは悲しげに苦笑した。そして再び手をとり、そのまま車に近づいていく。
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