9.咲良の答え

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 今度はしっかり声を出して伝えた。掠れた声で格好はつかなかったが、とにかく彼に伝わればそれで十分だと思った。  再びゆっくりとその腕に包まれる。今度は優しい力だった。緊張と安心感という両極端な感情に挟まれ、ただ必死に彼のシャツにしがみついた。  何かを決意するように、蒼一さんが頷く。    車の外は分厚い雲が未だ空を覆っていた。  私たちを見守っていた月さえも、まるで隠れるように見えなくなった。  
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