11.二人の未来

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「すぐにここは引っ越そうと思う」  お風呂から上がり、久々に入る蒼一さんの寝室でベッドに腰掛けて待っていた。彼も入浴を済ませ、部屋へ入ってくる。どきりとした私をよそに、隣に腰掛けた蒼一さんは第一声にそう言った。 「え?」  私は聞き返す。彼はまだ毛先を少し濡らしたまま言った。 「ここはあまりにうちの家と近すぎる。新田さんも知ってるし。だからすぐにどこか引っ越そう」 「すぐにですか?」 「本当はマンションとか、家とか買って引っ越すのが一番なんだけど、選んでる時間もないからね。どこでもいいから賃貸を借りて引っ越す。明日にでも探しに行こう」  真剣な目でそう言ってくれた。まさかそんなことを提案されるなんて思ってなかった私は驚く。蒼一さんは眉を顰めて言う。 「もう二人には絶対接触しなくていいから。あれで懲りたといいんだけど。そうだとしても、顔見るだけで気分悪いでしょ?」 「そ、そんな」 「僕は気分悪いよ。まあ、僕が言うなって話なんだけどね。僕が一番咲良ちゃんを傷つけてたから」  少しだけ視線を落として蒼一さんが言った。その切なげな表情を見て、私は強く首を振る。
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