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恐る恐る、聞いてみた。そうであってほしいという私の願望でもある。だって、蒼一さんのこんなところ見たことがないから。
すると彼は即答した。
「めちゃくちゃに妬いてる」
「…………」
唖然として彼を見る。蒼一さんはふうと一つ息を吐くと、頭を掻いて言った。
「ま、僕のせいで出ていく羽目になったんだから、妬く立場じゃないことは承知の上」
「蒼一さんも妬いたりするんですか?」
「あたりまえ。前に二人で出かけるって言ってた時も本当は止めたかった。独占欲がなきゃ、結婚式であんなゲスな計画立てたりしない」
「あは、ゲスって」
蒼一さんらしくない言葉につい笑ってしまう。ちょっとらしくないけど、これも蒼一さんの顔の一つなんだろうか。そういえばイライラしたときくそ、って言ったりして。
笑っている私の頬に突然彼が手をのばした。それだけでどきんと胸が高鳴り、笑いなんて一気に引っ込んでしまう。頬が火傷したみたいに熱い。
「ごめんね、嫉妬深くて」
間近で彼が言った。私は体をこわばらせたまま小さく首を振る。
「い、いえ、むしろ大歓迎ですが」
「はは、大歓迎?」
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