11.二人の未来

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「なんで蒼一さんがそんなに私を想ってくれてるんだろうって疑問ではあります、お姉ちゃんみたいに美人でもないし不器用だ」  私が言いかけている最中に、その口を塞ぐように彼は唇を押し当てた。突然のことに驚く。でも未だ慣れないその行為に応えたくて、ただ必死に受け入た。それでも苦しい、息ができないほどに。  頭がぼうっとする感覚の中で、彼が少しずつ力を増して私は後ろに倒れ込んだ。背中に少しひんやりしたシーツの温度が伝わる。はずみで二人の唇が離れた。見上げると、髪を垂らして私を見下ろしている蒼一さんの顔が見える。  私は彼を見上げながら小声で呟いた。 「蓮也と一緒にいるのは楽で、肩の力が抜けました。  でも同時にわかったんです。蒼一さんといるといつもドキドキして緊張するのは、やっぱり好きだからだって」  私が言うと、蒼一さんは少しだけ目をみひらいた。が、すぐにため息を漏らして目を瞑る。私は不思議に思い首を傾げた。 「あー、うん。あれだ」 「え?」 「煽る言葉としては百点だね」  そういって僅かに口角を上げた彼は、深い深いキスを私にくれた。緊張と嬉しさの間で自分が潰されそうに思う。
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