11.二人の未来

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「大丈夫?」  ふいに蒼一さんが顔を上げて気遣いたずねた。私は彼を見あげながら声も出せずに頷く。またしてもいつのまにか流れていた涙を、蒼一さんが指先で拭く。 「なんか、体ガチガチ」 「緊張は、してます。だって今まで手をつなぐぐらいで必死だったんです。ぎゅっとするのでさえ死にそう。でも、これは嬉し泣きです」 「そっか、嬉し泣きか」 「だから、大丈夫です」  小さく蒼一さんが笑う。私の髪を優しく撫でた。  子供の頃もよく頭を撫でてくれたけど、その時とはまるで違う感覚。私はぼんやりと蒼一さんの顔を見上げた。バチリと目が合うと、彼はおもしろそうに言う。 「髪。触るの好きなの?」 「え?」 「さっき何度も僕の触ってたから」 「好きっていうか……触ってみたいな、って思ってたから」  そういうと、彼は突然ふざけたように私の肩に頭をぶつけた。髪の毛が触れてくすぐったくなる。私は笑った。 「どうぞ、お好きなだけ」 「あは、どうぞって言われるといらないです」 「いらないって。急に冷たいじゃん」
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