11.二人の未来

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 慌てて起きあがろうとした私の腕を引っ張り、彼は再びベッドに寝かせた。私は恥ずかしさで顔を熱くしながら非難する。 「起きてたなら起こしてください、もしかして寝顔見てたんですか!」 「うん、せっかくだからしっかり観察しといた」 「もー! やめてください、絶対不細工な顔してたし」 「可愛かったよ。よだれ垂れてたのがとくに」 「前もそんなこと言っ……うわ、ほんとだ」  口の端を触ってみたら本当に濡れてたので慌てて拭いた。そんな私をみながら彼は声を上げて笑う。私は軽く睨んで見せた。いっつも蒼一さんばかり余裕なんだから。 「今度は絶対私が先に起きて蒼一さんの寝顔観察しまくります」 「はは、恨まれた。ずっと見てたわけじゃないよ、ちょっと僕の方が早く起きただけ。起こそうかなーと思ってたら咲良ちゃんが起きたから」  目を細めながら私を見てくる。たったそれだけの光景に、つい胸が苦しくなった。  初めの頃一緒に寝てた時はお互い背中を向けて、いつもどっちかが先に起きていた。こうしてお互いの顔をみながらふざけるなんて、一度もしたことがなかったのに。
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