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でもやっぱり……よだれは恥ずかしいな……。
蒼一さんは大きく伸びをしながら言った。
「ゆっくりしてから不動産屋行こうか。引っ越しの準備もすぐにしよう」
「本気なんですね、昨日言ってたこと」
「うん。早い方がいい」
引っ越し、か。まだそんなに長い時間暮らしたわけでもないけど、お別れするのはなんだか寂しい。でも新しい場所で一からやり直すのもいいかもしれない、とも思う。
きっとどんな場所でも楽しい日々になれるはずだと確信している。
「新しいとこなんか希望ある? ここは譲れない、とか」
「ええ、何でしょう……蒼一さんが出勤しやすいとこがいいんじゃないですか?」
「僕のことじゃなくて咲良ちゃんのことで考えてよ」
呆れたように、でも笑いながら言う。私はううんと唸りながら考え、そんなにこだわりなんてないんだけどなあ、と思う。あ、でも……
「コンロは二つほしいです」
「はは! まさかそんなところから言われると思わなかった。
そういえば、ここ最近の料理もずっと咲良ちゃんが作ってたんだって? 山下さんから聞いた」
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