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朝の支度をしながら、ぼんやり先ほどの提案を考える。引っ越しはともかく、結婚式だなんて。そんなことまるで考えたことなかったから驚きでいっぱいだ。
そりゃ、あの時の式はほぼ記憶もないしもう一回やれたら嬉しいけど。ううん、お金はもちろんかかるし、招待客とかどうしようって思ったり……。
着替えなど一通りの身支度が済んだところで、家のインターホンが鳴り響いた。蒼一さんは私と入れ替わり歯を磨いているところだったので、自分が慌てて対応する。
「私出ます!」
それだけ言ってモニターを見る。そこで目を丸くした。立っていたのは蓮也だったからだ。
あれ、何でここがわかったんだろう。そう疑問を感じると同時に、昨夜は家にお邪魔してお世話になったくせにお礼も言っていなかったのを思い出す。
私は急いで外へと出た。
玄関を開けると、蓮也がそこに立っていた。彼は手に私の荷物を持っていて、わざわざ届けにきてくれたのだと気づく。私を見ると、彼は眉を下げて笑った。
「おはよ」
「蓮也! お、おはよ。荷物わざわざ届けにきてくれたの?」
慌てて彼の手から荷物をもらう。蓮也は一つ頷いた。
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