11.二人の未来

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 そういうと、進みかけた足がぴたりと止まった。ゆっくり彼が振り返る。少し鼻を赤くした短髪の彼は、白い歯を出して笑った。 「もう離婚とかすんなよ」  ふざけたようにそう言うと、蓮也は足早にそこから去っていった。彼の後ろ姿が見えなくなるまでじっと見送る。    気持ちを伝えないと後悔するよ、と言ってくれた蓮也の言葉を思い出す。あれほど説得力のあるセリフもない。彼はちゃんと私に気持ちを伝えてくれていたんだから。  いつかきっと、またどこかで会えた時、私も彼もお互い幸せでありたいと心から思った。 「咲良ちゃん?」  背後から声がする。振り返ると蒼一さんが玄関から出てきたところだった。私が持つ荷物を見てすぐに察したのか、すっとカバンを受け取りながら言った。 「蓮也くん、来てくれたんだ」 「はい、私の親に住所聞いたみたいで。届けてくれました」 「僕もお礼言わなきゃいけなかったのにな。昨日失礼な態度取った」 「余計なことしたのかもって、蒼一さんに謝っといてって言われました」
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