11.二人の未来

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 その後、私と蒼一さんは早速不動産屋に新しい家を探しに行った。こちらが望む条件全てを満たしているような物件はさすがにすぐにはなかった。しかし蒼一さんは、「また見つかったら引っ越せばいい」と言ってその日のうちに決定した。  引越し業者にもすぐ連絡し、引越しの手続きを済ませた。そのまま私たちは逃げるように家から出て、新しい新居に移動したのである。  もちろんお母様たちに挨拶も何もなし。あれよあれよと、いつのまにか引っ越しは完了してしまった。  新しく構えた私たちの家は、築年数はそこそこあるマンションだった。でもリフォームされているので中は綺麗だし、キッチンも広いので私は全く不満はなかった。周りの環境も住みやすい場所だったのでむしろよく一日目でこんないいところを見つけられたなと感心するほどだった。 「荷物の搬入はこれで全て完了になります」  引っ越し業者の人が頭を下げる。蒼一さんは書類にサインした。  スタッフはそれぞれ頭を下げると、マンションから全員出ていった。残されたのは段ボールの山たちと私たち二人だ。
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