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私にスマホを返してくれる。それを見つめながら、私を守ってくれているんだから蒼一さんに従おうと頷く。時間を置いて、いつか分かり合える日がくるといいんだけどな。
「新田さんの対処も考えるから」
「え、新田さんもですか!?」
「当然でしょ、やり方が常識を逸脱してる。仕事面でも責任は取ってもらわないと」
ううん、なんだか大ごとになってしまっている。私は腕を組んで唸った。新田さん、確かに良くないことをしたけど、なあ、
……同じ人を好きになったという点は、私は憎めないところもあるんだけど。お人好しなのかな。
蒼一さんは積まれた段ボールを見渡しながら話題を変えるようにして言った。
「さて。引っ越しも無事済んだことだし、狭いけど新生活だね。咲良ちゃん、今更だけど約束しよう」
「約束ですか?」
「一番大事なこと。
嘘をつかず、言いたいことはちゃんと言う。まずはこれだ」
柔らかく笑って蒼一さんがそう言った。私も釣られて頬が緩む。
今まではお互い様子見しながらの生活だった。でもそんな遠慮はいらない、今後はちゃんと夫婦として暮らしていこう。蒼一さんはそう言ってくれてるんだ。
彼はさらに続ける。
「きっと咲良ちゃんから見て苛立つ時もあるだろうし、不満だって絶対出てくる」
「ええ、そんなこと」
「それが普通なんだよ。暮らしてきた環境も違うんだ、全部の価値観が合うわけがない。
大事なのはそれをどこまでお互い歩み寄るか、だよ。一人が我慢するのは一番だめだ」
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