11.二人の未来

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 真剣な彼の表情に、私は頷いた。そうだ、彼の言うことは尤もなこと。私だって蒼一さんから見たら至らないことなんてたくさんある。それを二人で少しずつ歩いていくんだ。 「はい、わかりました」 「うん。頑張ろうね」  蒼一さんは笑いながら早速段ボールを漁り出す。私も荷解きを始めようとした時、言おうと思っていたことを思い出し、伝えたくて声を出した。 「蒼一さん」 「ん?」 「あの話なんですけど……  挙式だけ、もう一回してもいいですか?」  段ボールから手を離し、蒼一さんが振り返った。少し驚いた顔をしている。  多分今までの私だったら遠慮していらないです、と言っていたと思う。実際話を聞いた直後は二回目の結婚式なんて、と思っていた。  でもやっぱりやろうと思う。それは、これからはちゃんと二人で夫婦として歩んでいこうという決意の表明というか、ケジメのようなものとして。  蒼一さんがふにゃりと嬉しそうに笑った。そして大きく頷く。 「うん、そうしよう! 友達や、咲良ちゃんのご両親だけ呼ぶとか」
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