11.二人の未来

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 その後、私たちは新生活をスタートさせた。  今までずっと緊張だらけだった家は、次第に居心地のいいものへと変わっていった。もちろんまだ心臓が速まる場面も多々あるのだが、並んで座ってテレビを見たり、休日は二人して寝坊してみたり、食べたいケーキが被ってジャンケンしてみたり。そんなたわいないやりとりが全て幸福に思えるものだった。  そして約束通り、挙式に向けてもすぐに準備を始めた。私は初めてのことに戸惑いながら、資料などを集めたりして色々調べ抜いた。  式場や衣装の選択。髪型やメイク、ブーケの種類。思った以上に悩むことが多い。目をぐるぐるさせながら困っている私と、なぜか楽しそうにしている蒼一さん、普通は立場が逆ではないのだろうか。  でも、何度も行うドレスの試着にも笑顔で付き合ってくれ、褒めながらもそれとなく意見を出してくれる蒼一さんに、スタッフの人が「素敵なパートナーですね」と耳打ちしてくれたのはいい思い出だ。こんな体験をするなんて思ってもみなかった。  そして私たちは海の見える教会に二人で足を運び、ついにその日を迎えた。
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