11.二人の未来

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 緊張をほぐすためか、人なつこく話しかけてくれる。私は笑顔で答えた。入念にトリートメントした毛先を触りながらメイクさんは言う。 「お二人は幼馴染って伺いました。素敵ですね」 「あは、そうなんです。まあ色々あったんですけど」 「そうなんですか?」 「はい(めちゃくちゃ色々です)」  ここで説明するには時間が足りないほど色々あった。まず、お姉ちゃんの昔からの婚約者だった……というところから始めなければならない。絶対にタイムオーバーするので濁しておこうと思う。  メイクさんはふふっと笑って言う。 「色々あったけど、結局お互いが選んだのは自分達なんですから。その結果が全てですよ」  そう優しく言われ、私は微笑んだ。  確かにその通り。今ここにいるという事実が全て。  幼馴染と一言で片付けるには、私たちの時間はあまりに長い。 「さ、メイクは完了です、ドレスにお着替えしましょうか」 「はい」  立ち上がり、掛けてあったドレスを見た。数多くの種類で悩みながらようやく選び抜いた一着だった。蒼一さんも似合う、と太鼓判を押してくれたのでこれに決めた。
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