6895人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
両親には式のことは告げたけど二人でやると言ったら納得していたし、友達には教えてない。ではもしかして、蒼一さんのお父様かお母様?
不思議に思っている時、タイミングよくノックの音がした。蒼一さんが立ち上がる。私が返事をするより早く、その扉が開かれた。
そこに現れた人を見て、自分が固まる。
サラリと伸びたロングヘアに、はっきりした目鼻立ち。見覚えるのある姿に、私は声をひっくり返らせた。
「お、お姉ちゃん!」
慌てて立ち上がろうとしたのを、お姉ちゃんは笑って止めた。
「あー座っててよ。転んだりでもしたらどうするの、咲良はおっちょこちょいなんだから」
懐かしい声でそう笑いながら部屋に入ってくるそのひとを見て、ただパクパクと口を開けた。
あの結婚式の日に消えてしまってから、結局お姉ちゃんの消息は知らなかった。蒼一さんは居場所を知っていると言っていたけれど、お姉ちゃんから私に直接連絡もないのなら、勝手に蒼一さんから聞くのもどうかと思い知らないままでいたのだ。
「うそ、本当にお姉ちゃん……!?」
変わらない姿で彼女は頷いた。私の隣に立った蒼一さんが言う。
最初のコメントを投稿しよう!