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「綾乃とはもうほとんど連絡取ってないんだけど、咲良ちゃんとの式については言ったんだ、綾乃にも色々心配かけたから。
そしたらまさかの今日突然やってきて」
困ったような蒼一さんの声に、お姉ちゃんが言った。
「当たり前よ。だって私だけなのよ、咲良のドレス姿見てないの。みんなだけ見てずるいんだからもう」
不満気に言ったお姉ちゃんは、しゃがみ込んで私と視線を合わせてくれる。久々にみる姉の顔は、ひどく私の心を揺さぶった。
自分とは正反対だった姉。趣味も性格も違うけど、私たちは仲のいい姉妹だった。結婚式の日突然消えてしまって、もう会えないかと思っていた。
お姉ちゃんは目を細めて言う。
「すごく綺麗だよ咲良、やっぱり本人が選んだドレスは違うね。似合ってる」
「お姉ちゃん……」
「あの日、ごめんね。突然で、あんな形になって。もうちょっと穏便に済ます方法もあったのに。
私も実は直前まで迷ってたんだよね。蒼一は恋って感じじゃないけど一緒にいるには楽な相手だったし、スペックは問題ないし、このまま結婚しちゃおうかなーなんて。
でもやっぱり、結婚って好き合ってる人たちがするもんよね」
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