11.二人の未来

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「蒼一さんがいてくれたら、笑います」 「そっか。僕も咲良ちゃんがいてくれたら笑うよ」 「じゃあ二人で笑い合いましょう」 「うん。泣くなら二人で泣こう」 「はい、悲しい時も一緒ですね」 「今日からまた始めよう。僕たちの結婚。今まで学んだことを活かして、二人で歩き出そう」  私たちの始まりは突然の結婚式からだった。その後も言葉が足りなくて、片想いだと思い込んでいた生活。  相手に思いを伝えることがどれほど重要なのか思い知った。決して叶わないと思っていた幼い頃からの初恋は、こうして現実になっている。  この人が好きで諦めようとしていた幼い私へ。捨てなくてよかったよ。その恋心、ちゃんと胸に置いておいてよかったね。  今人生で感じたことのない幸福感に包まれている。愛する人に愛されるという奇跡は、自分が思っている以上にずっとずっと幸せなものだった。  部屋にノックの音がする。スタッフの人がそろそろ時間が近づいていると知らせてくれた。  私は蒼一さんの手を借りて椅子から立ち上がる。ふわりと揺れるドレスの裾が柔らかで幻想的だった。  愛する人の手を握り締め、私は前を向いた。  幸せになろう。これからもっともっと。私たちを支えてくれた人たちのために。 「行こうか」 「はい!」    私は今日、ずっと好きだった人と、結婚する。 <完> 最後までお読み頂きありがとうございました! その後の二人をスター特典に追加いたしました。よければお付き合いください。 またお会いする日まで。
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