32人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
「電話じゃねえ。LINEだ。これだから年寄りは……」
サキの言葉につかさが反論しようとする。
だがサキの方が早かった。
「ババア。お前の妄想で健が迷惑してるから、婚約者とか見苦しいフェイクやめな。あたしが健にプレゼントしたもの勝手に処分したら、テメエの厚化粧落としてやるからな」
「誰が厚化粧なんですか?」
「そんなに健のそばにいたかったら、あたしら一緒になったら家政婦として雇ってやるからよ」
「いい加減にしなさい。あなたなんかに大切な日下くんは渡しません」
健はこれ以上、つかさに進学校の学年主任とは思えない会話をさせたくなかった。
だがふたりの会話は次第にヒートアップ。健には止めようもなくなった。
「日下さん。あなたの犯罪行為に日下くんを巻き込まないで」
「何言ってんだ。健と親子くらい離れたババアが勝手に健の部屋に入ること自体問題行為だろう」
「何が親子ですか? たった十二歳しか違いません。」
ドアのチャイムが鳴った。
見苦しい罵り合いも一時休止。
健が玄関に行くと宅急便だった。
同じく白鳥高校で一年先輩だった如月飛鳥から。
大きな段ボールが二箱。
箱を開けると最新のパソコンに始まり、ブランド品の下着や靴下、靴。
そしてパジャマ。
手紙が同封。
またもつかさが有無を言わせず取り上げる。
<日下君へ
家に置いてある安物は全て処分してください。新しいテレビを買ってあげたいけれど、今の中古マンションを引っ越すまで少し待ってください。
婚約者 飛鳥」
つかさの絶叫が部屋中に響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!