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序章
朝目覚めるたびに懲りずに自分に言い聞かせる事がある。
腕で覆った瞼の裏に懐かしい顔を思い描く。生きた長さを更新すればするほど曖昧になっていくその形を今も必死に追いかけて、追いかけて、追いかけて。
その先に何が待っているのかなんて考える暇すらないくらい、今という残酷な時の流れの中を駆けている。
ずっと。もう、ずっとだ。
なあ、俺は、きっと。
「……」
後に続くはずだった言葉を自分の吐く息で掻き消した。
しくじるな。
忘れるな。
迷うな。
止まるな。
何度も何度も言い聞かせる。
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