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01.愛称は大事!
『塔子だから……。とーちゃん?』
『お、お父さん!? 私、お父さんなの!?』
小学校の頃。
確か、塔子と竜雅の二人が、三年生くらいだっただろうか。
塔子は、お隣に引っ越してきた男の子、竜雅と、家族ぐるみで仲良くなった。
そんなわけなので、お互い愛称で呼び合おうということになったのだけど。彼の微妙過ぎる案に、塔子はびっくりしていた。
『そーか。流石にとーちゃんはないか』
『ないよぉ。それじゃまるで、お父さんだよぉ』
塔子の浮かない表情を見て、竜雅は別の案を探った。
そして、すぐに思い浮かんだのだ。
『じゃあ、とこちゃん』
『あ、うん。それならいいよ。可愛い』
二人の馴れ初めは、そんな感じ。
そして……。小学校から、中学校へ。
時は流れど、何故かクラスは毎回同じ。
やがて二人は高校受験を経て、またも同じ学校へと進学することになった。
何故だかはわからないけれど、一緒にいるのが自然なことだった。
二人共、それを疑うことなど、なかった。
「また、一緒のクラスだね」
「おう。よろしくな」
腐れ縁。
壁に貼り出されたクラスの名簿を見て、塔子はくすくす笑った。
一緒なのが、とても嬉しかったのだ。
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