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カオルちゃん
実は私には今も忘れられない子がいましてね。
まだ物心がつく前でしたので、断片的にしか覚えていないのですが、名前はカオルちゃんといいました。
当時、家の近所のビルの前にごみ捨て場があったのですが、よく一緒に遊んでいたことが、私の記憶に残っています。
時には私と喧嘩をして、よく私の親にJIROにいじめられたと、言い付けに行ったこともあったそうです。
でも私の性格すると、心の底では彼女のことが好きだったと思います。
そんなある時、突然彼女から、しばらく遊べなくなったと言われたのですよ。
実は彼女は身体が弱く、後に父親から聞いた話では、間もなく白血病で亡くなったらしいですよ。
葬儀には私も参列したらしいのですが、まだ幼かったので死というもののに認識がなく、彼女の遺体を見た私は、なぜカオルちゃんはこんな箱の中で眠っているのと聞いていたそうです。
それからは、そのビルの前のごみ捨て場で、一人で遊んでいた記憶が残っているのですが、ただ私の記憶の中では、ときどきビルとビルの間だの隙間から、無言で私の様子を見ている、彼女の存在が記憶に残っているんですよね・・・
今にして思えば、彼女が亡くなる前に言っていた、しばらく遊べなくなったという、しばらくとは、私が天寿を全うして、彼女がいる世界に行くまでの間のことだったのかも知れません。
そして私の現在の年齢からして、彼女と再開出来るのも、そんな遠い未来のことではないかも知れませんね。
なぜこのような話をしたかと言うとね、最近実家に行った時に、偶然かどうか分かりませんが、彼女の写真が見つかったのですよ。
今、その写真を大事に持っていますよ。
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