トパーズ 自己紹介をかねて

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トパーズ 自己紹介をかねて

大きな国道を逸れ鬱蒼と木々が生い茂る細く轍が目立つ道を、我が赤い愛車で登ったり降ったりして私達は目的地に辿り着く 車が停められる場所に停車し戦闘準備を始める ここに来たのは2度目、いや3度目か もう10月だというのにまだまだ暑く汗ばむ陽気 そんな中でも長袖長ズボン 両手はゴム手袋、長靴 百均で買ったバケツには同じく百均で買ったフルイと園芸用のスコップ そんなイデタチで私達は道無き道を川へと進む 川には先客が居た 先方は椅子を持ち込みゴム長を着てスコップで川を掘っていた 「なんかありましたか?」 わたしたちがそう聞くと彼は戦利品を見せてくれた 大きな煙水晶と黄色いトパーズ おおっイイなあ でもそんなにホジクリカエスのは私達には無理だなあ との出会いは一期一会 さてやりますか 長靴で入れるほどの深さしかないゆるやかなこの川は一見するとごく普通によくある川である 川の中は涼しい 博物館の学芸員さんは流れが曲がってる所とか大きな石がある所と言っていた 自分が思うココだと思う場所に陣取って川底から砂を取りフルイにかける 今日の私達の狙いは ここは岐阜県 それ以外の情報は場所を守るために言えません この後に同じ場所で会った若いお兄さんは 「ベテランの70代のお姉様方二人が言うには昔はちょっと探したら大きなモノがたくさん採れたけど今は大きな機械とか持ち込んで根こそぎ採っていっちゃう人が居る 深い川底まで掘っていっちゃうから深く掘らないと採れないと嘆いていた」と語っていた その若いお兄さんはそのお姉様方にご教授されたらしい それも羨ましい 私達は袖やら長靴の中やらお尻を川の水で濡らしながら必死でフルイをかけていく 前回は大きなトパーズが採れたと騒いだけど 実は煙水晶だといつもの学芸員さんに言われ意気消沈 今回こそはコレという逸品を目指して欲ゼンカイで悲鳴を上げる腕や太ももを物ともせずに時間いっぱい踏ん張る私と早々にメゲてる相方 さっき大きな石を見せてもらってしまったがために完全に大物狙い そこには私の目を惑わす目的のモノと似たモノがびっくりするほどたくさんある 結局大物には出会えなかった また来るしか無いだろう 帰りの車の中、うたた寝をしている私を見て笑う相方と今日の晩ごはんは唐揚げ弁当を買って帰ることに決め 痛む腰や腕や脚にシップやサロンパスを貼り 翌日は筋肉痛で動けない そこまでが一連の私の冒険である
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