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助けてくれたひと
そのホテルまでの川べりの道を
ゆっくり歩いていた時…
すれ違いざまに誰かに腕を掴まれた。
「ねえちゃん、金出しな」
多少聞き取れる私の耳に恐ろしい言葉が飛んでくる。
た…助けて…!!!
思わず声を上げようとした瞬間、
「いててて…!!」と男が悲鳴を上げた。
見ると、
私の腕を掴んだ男の手を
別の男性がねじ上げている。
「覚えてろ!!」と捨てセリフを吐き、
男は逃げ出した。
「あ、ありがとうございます…あの…」
こっちの言葉でなんとかお礼を言ったが
その男性は一瞬きょとんとした表情になった。
やだ…発音悪かったかな…??
「…すみません。中国語はよくわからなくて」
え?日本語???
「日本の…方ですか?」
「いえ、僕は韓国人です」
「私が日本人だって、どうして…」
「中国の人にも僕と同じ韓国人にも
見えなかったから…」
ははは…と笑うその男性はとても端正な顔立ちで
白い歯がこぼれるような人だった。
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