ユノと一緒に

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ユノと一緒に

「それに、暗い道をひとり歩きするのは たいがい日本の人ですよね」 「え…」 平和ボケしている、と言いたかったのかしら…。 私はちょっと恥ずかしくなって下を向いた。 「あ…日本はとても安全な国だから」 落ち込む私を見て、彼はあわてて 言葉を付け加えてくれる。 「日本に行ったことがあるんですか?」 「はい。しばらく住んでいました」 だから、こんなに日本語が上手なのか…。 目的地まで送りましょう…と 並んで一緒に歩くと、その男性は とても背が高かった。 手足も長くて、まるでモデルのようだ。 端正なルックスが目を惹くのか すれ違う人が次々と振り返る。 それどころか 少し離れて私たちの後をつけてくる女性たちが だんだん増えてきているような… 「あ、あの…後ろの方たちはお知り合いですか?」 「え…ああ…たぶん(笑)」 たぶん…ってどういう意味なの?? 「お名前…聞いていませんでしたね?」 「僕はユノといいます」 「私はようこです」 「ようこさんですね」 「あ…ようこでいいです、ユノさん」 「僕もユノでいいですよ」 ユノはゆっくり歩きながらこう言った。 「ようこは…どんな音楽が好きですか?」 「音楽ですか?そうですね…クラシックと… 後はジャズが大好きです」 「ああ…だから…(笑)なるほど」 なるほど?? 「ようこ、もし良かったら僕も一緒に そのジャズのライブに行ってもいいですか?」 「ええ、もちろん!…でも後ろの方々は??」 「まきます」 「え?」 突然ユノは私の右手を掴んだ。 「走るよ、ようこ!!!」
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