ユノはダンサー!?

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ユノはダンサー!?

ユノは突然ものすごいスピードで走り出した。 ほぼユノにひっぱられる形で 私たちは目の前の路地に一気に入り込む。 すぐ左側にあるビルの中に入ると ユノは私の肩を引き寄せて入り口のそばに 見えないように立った。 私の肩を抱くユノのがっしりとした腕に… 少しどきどきする。 私たちの後ろをつけてきた女子たちが きゃあきゃあ言いながら目の前を 通り過ぎていくのが見えた。 「ユノ…あなた追われているの?」 「追われてる…確かに」 あははは…と笑うユノの顔は本当に楽しそうだった。 不思議な人…でもなぜかイヤな感じはしなかった。 むしろ、ユノがかもし出す柔らかな雰囲気と 優しい声のトーンになんだかなごむ自分がいる…。 ユノと2人で行ったジャズライブは とても楽しかった。 音に合わせてスイングするのがとてもうまいユノは 私以上にライブを楽しんでいるようだった。 やがて軽やかなテンポの曲になると フロアに出て踊りだす客が何組かあらわれた。 「僕たちも踊ろうか?ようこ」 「え…あたし、ダンスは…」 「大丈夫。僕にまかせて」 ユノはにっこり笑うと、 私の手をとり、フロアの中央にすすんでしまった。 「や、やだ…!!ホントに踊れないのよ、ユノ!」 「大丈夫。さあ…」 ユノは私の左手を取り、右手を腰にまわすと あっという間にくるくると私の体を回し始める。 「きゃっ!!」 思わず足がもつれそうになるところを ユノが上手に腰をホールドしてくれて… 気がついたら 私たちは周りの客たちから拍手喝采を浴びていた。 「ユノ…あなたダンサーだったの?」 「ちょっと違うけどそんなところかな」 私の言動に笑いころげるユノに いつの間にか惹かれている自分がいる…。
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