奇跡のような出来事

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奇跡のような出来事

ライブの帰り、ユノはホテルまで送ってくれた。 少しアルコールも入っていたのもあって 私たちは自然に手をつないでいた。 「ようこはいつまでここにいるの?」 「あと2日。明日は友達とおちあうの」 「そっか…」 「ユノは?」 「僕は明日、韓国に戻るんだ」 「そうなの…」 どうしよう…連絡先、聞こうかな…。 まだ…ユノと話していたいのに、 もうホテルの入口まで着いちゃった…。 「ようこ、口紅持ってる?」 ふいにユノが言った。 「え?…うん…」 バッグから口紅を取り出してユノに渡すと、 ユノはポケットからハンカチを取り出して 口紅で数字をハンカチに書いた。 「これ、僕の携帯番号。」 「ユノ…」 「楽しかったよ、ようこ」 「あたしも…」 「また…必ず会えるから」 そう言うと私の額にそっとキスをして ユノは手を振ると、元の道を帰っていった。 爽やかな風のように… 部屋に戻ってテレビをつけると 情報番組が流れた。 とぎれとぎれに聞き取れる言葉に 何気に耳をかたむけていると… 「大人気の韓国の男性デュオがライブを行いました」 へえ…人気のデュオ? クラシックとジャズばかり聞いている私には どんなグループかもわからなかった。 そこに映し出された2人組の男性… 右側にたっているその人は… 「えっ、ユノ…!?」 一瞬でいろんな?が繋がっていく。 すらりとしたスタイル、 追いかけてきたたくさんの女性たち、 抜群のリズム感とダンスのキレ…。 すごい人に助けられたばかりじゃなくて 私、一緒にジャズのライブまで行っちゃった…! この話、きっと信じてもらえないだろうな… 明日会う友達にどうやって話そうかと思いながら ユノがくれたこのステキな夜のことは やっぱり私だけの宝物にしよう、と 私は1人ふふっと微笑んでいた…。
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