Paragraph 0/夏喜という女/The Witch

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 『裏切りの聖者』と言われた十二番目の男が、健気に責務を果たしている。それこそが、神の子の裏切りであるとすら感じている。 「やめてくださいよ、ミズ・クラヤマ。ワタシにも立場がある。けれど、組織から見れば異端でも、在り方がどうであれ、あなたは我々の問題を解決へと導いた。それを受け入れるだけの器はあります」 「器、ね。まあいい。ならばローワン牧師、先から気になっているが、なぜ君の教会は明かりがついていない。いくら子供たちが出払っているからと言っても、すでに日は暮れて外は暗い。これでは、中も真っ暗とは言わずとも暗いだろう。その中で事後処理をしようとしていたのかな」 「ナツキ、もういいだろう。意地悪がすぎるぞ」 「ジューダスは黙っていてくれ。ローワン牧師、納得がいく答えを聞かせほしい。率直に言えば、わたしは君を信用していない」 「・・・・・・なぜです」
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