Paragraph 0/夏喜という女/The Witch

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 ローワン牧師が眉間にシワを寄せ、汚物を見るような目つきで夏喜とジューダスを睨みつける。先程までの仮面は見る影もない。 「だが、ここで気付いたところで帰ってくれれば関係がない。さあ、仕事を終えたのなら手続きを終えて早く帰れ」  急に態度を変えたローワン牧師だが、夏喜は動かない。後ろに立つジューダスは、彼女の考えが何となく察しており、やれやれとため息をこぼす。 「君の依頼は"吸血鬼退治とこの子の救出"、だったな。なら、後半の依頼解決をしようか」  夏喜はおもむろに懐から取り出したデリンジャーの銃口を、ローワン牧師の額に押し付けた。夏喜の表情は冷たく、ローワン牧師は額に感じる金属の冷たさに全身がこわばる。 「な、何のつもりだ・・・・・・」 「言ったでしょう、後半の依頼解決さ。邪推せざる得ない状況だ、これを降ろしてほしければ、下の実情を話すんだ」
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