Paragraph 9/輪廻の蛇/Annulus

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「どういうことでしょうか」  夏喜は麗蘭の疑問の表情を見て、車の中で眠る鈴蘭の顔に視線を移す。親子だけあって似ている。肌は焼けているが、若い頃の麗蘭も同じような顔をしていたのだろう。 「確認したい肝心なことだ。君は、――?」 「・・・・・・気付かれて、しまったのですね」 「ええ。初めはわからなかった。けど、鈴蘭の恐怖心に反応する『』は、もしかしたらと思ってね。君には、(あれ)がなにかずっとわかっていたんだろう」  鈴蘭を覆う影。夏喜のように娘の寝顔を眺める麗蘭だが、その視線はどこか透けている。 「バニシング・ツイン。あの時、わたくしは双子を妊娠していたようです。ですが、妊娠初期に1つの胚はわたくしの子宮から消失していました」
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