Paragraph 0/夏喜という女/The Witch

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 石造りの広場の下――つまりは、教会のということになる。  地上で見える小さな教会の建物では、孤児院としての機能は到底期待できない。  なら、地下にその施設があるのならば。けれど、光も入らない地下空間で多くの子供を養うという事実は、それはそれで受入れられない。 「説明は嫌かな、ローワン牧師。そもそも救助を依頼した子はここの地域の子供ではないだろう。この村は昔ながらの閉鎖地域だ。日本人のわたしだってかなり気を使っている。だが、この子はどう見てもアジア圏の出身にしか見えない。その子が、孤児としてこの地域にいる事自体が不自然だった。それに、この子を攫った吸血鬼とかいう輩は、実際には悪霊使いだった。明らかに系統が違う。事もあろうに、この子はかなりの素質を秘めていた。  君の話は何から何まで不自然だよ」 「だ、だったら何だ!? 異端の魔女に何の問題がある!?」
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